□コラム「制度趣旨にそぐわない全額免除適用事例への対応」
について、2021/02//20竹山宏明
【表1】本文
1 はじめに 「特許印紙予納の廃止」の話題で、 特許庁「ウィズコロナ/ポストコロナ時代における 産業財産権政策の在り方―とりまとめー」 (令和3年2月3日、 以下、「令和3年産業財産権政策の在り方」という。*1) を読んでいて、「免除制度」について気になる記載があり、 紹介します。 2 「制度趣旨にそぐわない全額免除適用事例」について 気になる記載は、 「制度趣旨にそぐわない全額免除適用事例への対応」 (p.28~ 30参照)です。 内容は、審査請求料が全額免除された個人名義の出願が、 特許権が設定登録後、ほぼ全件が法人に権利移転されている 、そうです。 数値的には、「2019年4月~2020年10月」の 「特許権が設定登録された個人名義の出願件数(5,908件)」 あります。 「登録件数が40件以上である個人による出願件数は1,057件」 (*18%)あります。 その全件について「審査請求料」の「全額免除」 が適用されている、そうです。 そして、個人による「1,057件」のうち、 「1,054 件」(99.7%)が、特許権の設定登録後、 法人へ権利移転されている、そうです。 |
【表2】「全額免除」の対象者・「今後の新たな取組・改善」
3 審査請求料の「全額免除」の対象者について 審査請求料が、「全額免除」される対象者の方は、 個人の場合に、 「イ 生活保護を受けている者」、 「ロ 市町村民税非課税者」の方に限られます(*2)。 4 「今後の新たな取組・改善」について 「今後の新たな取組・改善」としては、 「対応:適用件数の上限設定、全額免除の縮小又は廃止」 について検討を進める、と記載されています。 具体的には、 「・ 年間の適用件数に上限を設ける。」 点が記載されています。 続いて、 「・ 少なくとも市町村民税非課税(相当)を理由とする 全額免除は廃止し、軽減措置のみとする、 と記載されています。 さらに、 「(生活保護受給者に対する免除措置については、 一定の上限を設けた上で継続することも 一つの選択肢として検討する。)」 と記載されています。 また、 「・ 特許登録までの間に他者に権利移転された場合については、 減免を取り消す等の措置を検討する。」 と記載されています。 上記載に続き、「ただし、」書きが添えられています。 5 おわりに 制度については、定期的に利用実態の調査が必要なものと考えます。 そして、調査結果を利用者にまずは公表し、 アピールすることが大切なものと考えます。 つぎに、改善策を考え、改善策を利用者に公表し、 利用者の意見を聞くことが必要なものと考えます。 その上で、制度を定期的に改善することが 望ましいものと考えます。(以上) |
【表3】注記
*1:特許庁「令和3年産業財産権政策の在り方」 (令和3年2月3日)、全51頁 (当該ページのURL1) https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai /sangyo-kouzou/shousai/kihonmondai_shoi /document/210203torimatome/01.pdf *2:特許庁「個人(市町村民税非課税者等) を対象とした減免措置について (2019年4月1日以降に審査請求をした場合)」 [更新日 2021年1月8日] (当該ページのURL2) https://www.jpo.go.jp/system/process /tesuryo/genmen/genmen20190401/02_08.html |
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(以上)