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2020年11月 8日 (日)

【特許】プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて<5>(2020/11/08竹山、更新)

□プロダクト・バイ・プロセス(PBP)クレームについて(その4)
                    記
7 「不可能・非実際的事情」の参考例
 ・類型(i)若しくは類型(ii)又は双方の類型に該当し、
  「不可能・非実際的事情」が存在することについての、
  特許出願人の主張・立証の参考例
【表1】

No. 発明の名称 pdf
参考例 1 芳香器 13~15 35/47~37/47
参考例 2 薄膜半導体素子 15~16 37/47~38/47
参考例 3 クリーム状の食品用
水中油型乳化組成物
16~17 38/47~39/47
参考例 4 香味向上剤 17~18 39/47~40/47
参考例 5 重合組成物 18~19 40/47~41/47

 <出典1>「特許庁」サイト
  「審査ハンドブックの 2205」
  「3.『不可能・非実際的事情』に該当しない類型、具体例」
  *13頁(pdf35/47)~19頁(pdf41/47)))
  (当該ページのURL)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent
/handbook_shinsa/document/index/02.pdf#page=35
【表2】参考例 1、芳香器、*13頁(pdf35/47)~15頁(pdf37/47)))

(1) 特許請求の範囲
[請求項 1]
 空気流通口を有するホルダと、
前記ホルダ内に配置された香気発生源及び発熱体とを有し、
前記香気発生源は、活性炭成形体を含み前記発熱体によって○℃~△℃
の範囲に加熱される芳香器であって、
 前記香気発生源は、香気成分 A の溶液を含浸させた前記活性炭成形体を、前記発熱体による加熱温度以下の温度で×時間以上加熱することによって製造される、芳香器。

 <出典2>*以下、出典1に同じ。
【表2】*[表1]の続き。改行挿入。

(2) 意見書における不可能・非実際的事情の主張・立証
 本願発明は、活性炭成形体の表面近傍に存在する香気成分を揮発させ当該活性炭成
形体の内部深くに存在する香気成分 A のみを残留させた香気発生源を有する芳香器の発明です。
この、従来技術にはない本願発明の特徴を特定するために、請求項 1 では、香気成分 A の溶液を含浸させた活性炭成形体を、発熱体による加熱温度以下の温度で×時間以上加熱する、という発明特定事項を記載しております。
この発明特定事項を備えることにより、保存時における香気成分の揮発を抑制し、もって保存状態によって使用時における香気成分の発散効率が相違してしまうという従来技術の問題点を解決した芳香器が得られることになります。(本願明細書段落○~○参照)

 <竹山コメント>
 ・「序」に相当し、本願発明の概要、請求項1の発明特定事項、
  従来技術の比較(効果)を主張しています。
【表3】*[表2]の続き。改行挿入。

 しかしながら、上記した本願発明の特徴を、物の構造又は特性により直接特定する
ことは、不可能であるといえます。

 <竹山コメント>
 ・まず、結論を述べています。
【表4】*[表3]の続き。改行挿入。

 第一に、上記した特徴である、活性炭成形体の表面近傍ではなく内部深くに香気成分が存在する状態を、例えば、表面から○○μm 以上の内部にのみ香気成分が存在する、といった文言により一概に特定することは、活性炭の各々によってその構造やそれに伴う特性が異なることにも照らせば、不可能です。
そして、他に、上記特徴を構造上又は特性上、明確に特定する文言も存在しません。

 <竹山コメント>
 ・第一として、物の構造又は特性の困難性を主張しています。
【表5】*[表4]の続き。改行挿入。

第二に、上記の特徴を有する香気発生源の構造又は特性を、測定に基づき解析することにより特定することも、本願出願時における解析技術からして、不可能であったといえます。
具体的には、材料の存在状態を詳細に測定する手法としては、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、・・・ などが挙げられますが、いずれの手法においても、あくまでも試料の表面の状態しか観測することができず、活性炭のような、多孔質体であって内部が複雑に入り組んだ構造物の解析には、不適であります。
また、X 線回折(XRD)のような分析機器を用いたとしても、香気成分が揮発してしまうため、正確なデータを取得することはできません。
このように、適切な測定及び解析の手段が存在していなかったのが実状です。

 <竹山コメント>
 ・第二にとして、測定・分析の困難性を根拠付けています。
【表6】*[表5]の続き。改行挿入。

 仮に、活性炭成形体の試料を切断し内部を表出させるなどして、当該内部における香気成分の存在状態を測定し得たとしても、その特定の試料の微視的な状態が判明するだけです。
そのような困難な操作と測定を多数回繰り返し、統計的処理を行い、上記した特徴を特定する指標を見いだすには、著しく多くの試行錯誤を重ねることが必要であり、およそ実際的ではありません。

 <竹山コメント>
 ・仮定法を用いて、測定・分析は無意味で有り、
  実際的で無いことを主張しています。
【表7】*[表6]の続き。

 以上の参考例 1 では、従来技術との相違に係る構造又は特性を特定する文言を見いだすことができず、かつ、かかる構造又は特性を測定に基づき解析し特定することも不可能又は非実際的であることが、意見書において具体的に説明されている。
このため、本例は「不可能・非実際的事情」の存在が認められうる例と考えられる。

 <竹山コメント>
 ・特許庁の評価が記載されています。
<サイト内>
(1)【特許】PBPクレームについて<1>
   「1 プロダクト・バイ・プロセス(PBP)について、
    2 最高裁判
    3 PBPクレームの明確性要件を巡る特許庁の対応」
   (2020/11/08竹山、更新)
(2)【特許】PBPクレームについて<2>
   「4 審査の流れ」
   (2020/11/08竹山、更新)
(3)【特許】PBPクレームについて<3>
   「5 拒絶理由に対する出願人の対応」
   (2020/11/08竹山、更新)
(4)【特許】PBPクレームについて<4>
   「6 物を生産する方法の発明とする補正」
   (2020/11/08竹山、更新)
(5)【特許】PBPクレームについて<5>
   「7 『不可能・非実際的事情』の参考例」

[△最新情報へ]

(以上)

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