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2020年8月23日 (日)

【個人メモ】<コラム>竹山宏明「補正の却下の決定と独立特許要件を満たさない補正について」(2020/08/23)

□特許であって、<コラム>
「補正の却下の決定と独立特許要件を満たさない補正について」
説明します(2020年8月23日)。
【表1】本文

<コラム>補正の却下の決定と独立特許要件を満たさない補正について
    2020年8月23日竹山宏明
1 はじめに
 拒絶査定に、拒絶理由通知書に記載の無い、新たな引用文献が記載されている場合があります。どうしてと、疑問に思われる方もいると思います。
 それは、出願人側の立場から考えると、新たな引用文献に対し、出願人の反論の機会や補正の機会が損なわれたと考えるからです。
 理由は、補正却下に際しては、出願人に拒絶の理由を通知をする必要がない旨、規定されているためです(特許法50条ただし書)[*1]。
 これは、平成5年(1993年)法改正に導入され、補正と拒絶理由通知が延々とループしてしまうことを防止し、審査・審判全体の効率性の観点から規定されたものです。
2 特許庁「特許・実用新案審査基準」
 もう少し、詳しく知りたい方は、特許庁「特許・実用新案審査基準」をご覧下さい[*2]。
3 裁判例
 裁判で争われたこともあり、裁判例は下記の通りです。
                   記
 (1)知財高判平成18年12月20日判決、平成18(行ケ)10102
    「シート張力調整方法」(以下、「本件裁判例1」という。)[*3]

【表2】後段

4 本件審決における「周知技術」の追加
 上記「本件裁判例1」では、拒絶理由では、下記の引用文献1及び引用文献2の2件を引用しました。
                   記
 (1)特公平1-36832号公報(以下、「引用文献1」という。)
 (2)登録実用新案第3031148号公報(以下、「引用文献2」という。)
 これに対し、本件審決(不服2005-10030号(審決日:平成18年1月25日))では、上記2件の引用文献に加え、下記の引用文献3を「周知技術」として追加しました。
                   記
 (3)周知技術(一例として、実願平3-50354号(実開平4-135546号)のマイクロフィルム)(以下、「引用文献3」という。)
 本件審決では、その結果、下記のように結論付けました。
                   記
 「したがって,本願補正発明は,引用発明1,2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。」
5 論文の紹介
 本件に関する論文としては、下記の論文を紹介します。
                   記
 ●吉田広志 氏[*]「特許法53条1項に定める補正却下処分の適法性」
  ―補正却下が適正手続違反とされた事例を端緒として
  (当該ページのURL)
https://www.inpit.go.jp
/content/100526198.pdf
  [*]北海道大学大学院法学研究科准教授
(以上)

[*1]「特許法50条」
【表3】*改行挿入、数字に変更。

(拒絶理由の通知)
第50条
 審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。
 ただし、第17条の2第1項第1号又は第3号に掲げる場合(同項第1号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて次条の規定による通知をした場合に限る。)において、第53条第1項の規定による却下の決定をするときは、この限りでない。

[*2]特許庁「特許・実用新案審査基準」
 ・第I部 審査総論、第6節 補正の却下の決定(PDF:343KB)
  *全10頁
[*3]知財高判平成18年12月20日判決、平成18(行ケ)10102
  「シート張力調整方法」
  ・知財高裁/裁判例検索
   ・・要旨PDFファイル
     *全2頁
     (一部抜粋)
【表4】要旨

○ 審査官が,出願に係る発明と主引用例記載の発明との相違点に係る構成が副引用例に記載されていると認定して,特許出願の拒絶査定をしたのに対し,審決が,当該構成が周知技術であると認定して,拒絶査定を維持した事案において,当該構成が出願に係る発明の重要な部分であること,当該相違点に係る構成が副引用例に記載されているとの審査官の認定が誤りであること,出願人が審査手続及び審判手続において副引用例に基づく審査官の認定を争っていたこと,当該周知技術が審査手続では実質的にも示されていないこと,その周知技術が普遍的な原理や当業者にとって極めて常識的・基礎的な事項のように周知性の高いものであるとも認められないことなどを考慮し,本件は拒絶査定不服審判において拒絶査定の理由と異なる理由を発見した場合に当たり,新たな拒絶理由通知を発し,出願人たる原告に意見を述べる機会を与えることが必要であったとした事例。

   ・・全文PDFファイル
     *全20頁
   ・・出願番号:特願平8-330836号
     (URL情報)

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(以上)

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