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2020年7月12日 (日)

【個人メモ】「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方、中間とりまとめ」の一部抜粋(2020/07/11竹山宏明)(4)

□産業構造審議会、知的財産分科会、特許制度小委員会
 「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方、中間とりまとめ」
 の一部抜粋です(2020/07/11竹山宏明)。
【表1】*改行挿入。

6.紛争形態の複雑化への対応、p.42~
(1)差止請求権の在り方、p.42~
〔課題〕p.42~
 AI・IoT技術の時代においては、通信技術によってあらゆる産業が結合することで、企業・業種を越えた融合や連携が益々進展している。こうした中、特許を巡る紛争の様相も、従来の紛争とは異なるものとなっている。
すなわち、技術の高度化に伴い、エレクトロニクス業界を中心として、特許の権利関係が複雑化している。
電子デバイス等については、一つの製品当たりに含まれる特許発明の件数が膨大な数に上っている。
こうした中、例えば、製品全体への貢献度合いが小さい特許権を用いて差止めを求めるようなケースについてどのように考えるべきかが課題となっている。
*以下省略
〔検討〕
(議論の必要性)
(制限の範囲)
(考慮要素)
 具体的にどのような事案において差止請求権の行使が権利濫用に該当し得るかについては、
  (i)完成品全体への特許権の貢献度合いの大小、
  (ii)特許権の標準規格必須性、
  (iii)特許権者の実施の有無・程度、
  (iv)侵害により特許権者に生じる損害額の大小・損害賠償での回復可能性、
  (v)特許権者の権利行使の主観的態様、
  (vi)差止めにより侵害者に生じる不利益の大小、
  (vii)侵害者の主観的態様その他の個別具体的な事情の如何によっては、権利濫用に当たる場合があるといった意見が出されたほか、
差止めによる公益や第三者への影響を考慮すべきとの意見も出された。
 また、侵害者が既に多額の投資を行っている場合に差止請求権の行使が認められてしまうと、その投資を行ったことで特許権者が過大な支払を受けることになってしまうことから、侵害者が既に多額の投資を行っている場合は、差止請求権の行使が制限されるべきとの意見が出された。
(明文化の要否)
(まとめ)
 以上が、本小委員会における議論を整理したものである。
 本小委員会の審議においては、差止請求権の行使は、権利濫用の範囲内で制限されるべきことについて異論はなかったが、具体的にどのような場合に権利濫用となるかについては、様々な要素を考慮しつつ、ケース・バイ・ケースで判断することが適当であるとの意見が多く出された。
 また、差止請求権の行使が権利濫用に当たる場合は制限される旨を特許法で規定することについては、それが特許権を弱めるというメッセージにつながりかねないことや、考慮要素を狭めるおそれがあるといった観点から、慎重な意見も見られた。
 こうした状況を踏まえ、特許法において差止請求権の行使に関する権利濫用の明文化については、上記のような懸念を払拭し、差止請求権の制限があくまで例外的なケースであることが明らかとなるような規定の仕方が法制上可能かどうかを含め、今後、引き続き検討していくことが適当である。
 なお、この論点については、権利の保護強化と技術の幅広い利用のバランスを図る観点に十分留意しつつ、検討を進めることが適当である。

 <出典> 「特許庁」サイト
      「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方
      ―中間とりまとめ―」
     *全58頁
  (当該ページのURL)
https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou
/shousai/tokkyo_shoi/document/200710_aiiot_chukan/01.pdf
【表2】*改行挿入。

〔諸外国の制度〕p.45
(米国)
 米国では、損害賠償請求権が重要な救済措置として位置付けられており、差止請求権は、損害賠償による救済が不十分な場合に、衡平(equity)の原則に基づいて認められる。
 このような考えに基づき、2006年のeBay事件の最高裁判決においては、差止めが認められる要件として、
 (i)回復不能の損害があること、
 (ii)制定法による損害賠償のような救済手段では不十分であること、
 (iii)差止めが認められた場合の被告の損害よりも原告の損害が大きいこと、
 (iv)差止命令で公共の利益が損なわれないこと、
の4つの要件を立証しなければならないこととされた。(*25)
(ドイツ)p.45
 他方、ドイツは、日本と同様、差止請求権は、特許権にとって根幹的な権利救済手段として捉えられており、侵害があれば差止めが認められるのが一般的である。
2020年1月に連邦司法省が特許法改正案を公表し、その中で、差止請求権の行使が例外的に不相当とされることがあり得ることを明確化する条文が盛り込まれている。(*26)
ただし、その理由として、既にドイツ法においては、差止請求権の行使が例外的に不相当とされることがあり得るものの、下級裁判所において謙抑的に顧慮されていることから、その旨を明確化する趣旨であることが述べられており、差止請求権が今後も強力であることがドイツの産業にとって不可欠であることも付記されていることに留意が必要である。
(*27) この点については、条文による明文化が特許権を弱めるというのは誤解に過ぎず、そうした誤解が蔓延しないようにすべきという意見もあった。
(*28) 現行の裁判実務においても、差止請求があった場合には、その範囲について精査の上で主文において差止めの範囲を明確化することで、過剰な差止めを回避しているとの指摘も出された。

<サイト内>
 ●2020年7月12日 (日)、【特許】日本経済新聞 朝刊/
  IoT特許に訴訟リスク、
  自動車業界の懸念 特許庁で議論(2020/07/06)(3)
 ●2020年7月11日 (土)、【個人メモ】
  「AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方、
  中間とりまとめ」の一部抜粋
  (2020/07/10竹山宏明)(2)
 ●2020年7月11日 (土)、【特許庁】
  AI・IoT技術の時代にふさわしい特許制度の在り方、
  中間とりまとめ(7月10日公表)(1)

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(以上)

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