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2019年7月 6日 (土)

【AI関連発明】<コラム>「東京地裁判決(freee対マネーフォワード事件)について」<freee事件その2>

□「freee事件」の<コラム>の続きを書きます。

2 freeeの訴訟に用いられた特許権と「機械学習」を利用した別特許権との比較
・前掲の「柿沼氏ブログ」に記載されているように、訴訟の対象から除かれた「freee別特許」(第5936284号)と、訴訟の対象となったfreeeの第5503795号(以下、「freee本件特許」という。)を比較すると、下記の「表1」の通りです。

【表1】 *書誌次項の比較

freee本件特許
(第5503795号)
freee別特許
(第5936284号)

・特許番号:第5503795号
・発明の名称:会計処理装置,会計処理方法及び会計処理プログラム
・出願日:平成25年(2013年)10月17日
 (特願2013-55252の分割,原出願日平成25年(2013年)3月18日)
・登録日:平成26年(2014年)3月20日・
・請求項の数:14

・特許番号:第5936284号
・発明の名称:会計処理装置、会計処理方法及び会計処理プログラム
・出願日:平成26年(2014年)7月14日


・登録日:平成28年(2016年)5月20日
・請求項の数:12

・「freee別特許」には、前掲の「柿沼氏ブログ」に、「機械学習を利用した自動仕訳に関する特許権(特許第5936284号)」と記載されています。
 「freee別特許」には、下記の[0036]以降に、「機械学習」に関する記載があります。

【表2】 *「freee別特許」の「機械学習」

[0036]
 修正した結果は、ユーザーごとのユーザールールとしてウェブサーバ110ないしデータベース120に保存され、次回からは、その取引内容に対して修正された勘定科目を表示するようにすることができる。このようにして蓄積された修正結果は、後述するように、各形態素に対応づけられた1又は複数の勘定科目の出現頻度の機械学習による学習済み(ラーンド)データベース(learned DB)の生成に用いられ、これはスタンドアロンアプリケーションではなく、クラウド技術であるからこそ可能となるものである。

・「freee」は、前掲の「CNET2016年06月27日記事」及び「CNET記事2017年07月28日」に記載されているように、訴訟提起前に、「freee本件特許」と「freee別特許」を検討していたそうです。
 ・両特許の対応する「会計処理方法」のクレームを比較すると、下記の「表2」の通りです。

【表3】 *クレームの比較(下線追加)

freee本件特許
(第5503795号)
freee別特許
(第5936284号)
[請求項13]
(13A)
 ウェブサーバが提供するクラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理方法であって,

[請求項11]

 ウェブサーバが提供するクラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理方法であって、

(13B)
 前記ウェブサーバが,ウェブ明細データを取引ごとに識別するステップと,

 前記ウェブサーバが、ウェブ明細データを取引ごとに識別するステップと、
(13C)
 前記ウェブサーバが,各取引を,前記各取引の取引内容の記載に基づいて,前記取引内容の記載に含まれうるキーワードと勘定科目との対応づけを保持する対応テーブルを参照して,特定の勘定科目に自動的に仕訳するステップと,

 前記ウェブサーバが、各取引を、前記各取引の取引内容の記載をキーワードに分節し、各キーワードに対応づけられた1又は複数の勘定科目の出現頻度を参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳するステップと、
(13D)
 前記ウェブサーバが,日付,取引内容,金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成するステップとを含み,
 作成された前記仕訳データは,ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され,前記コンピュータのウェブブラウザに,仕訳処理画面として表示され,
 前記仕訳処理画面は,勘定科目を変更するためのメニューを有し,

 前記ウェブサーバが、日付、取引内容、金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成するステップと
を含み、
 作成された前記仕訳データは、ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され、前記コンピュータのウェブブラウザに、仕訳処理画面として表示される
(13E)
 前記対応テーブルを参照した自動仕訳は,前記各取引の取引内容の記載に対して,複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し,優先順位の最も高いキーワードにより,前記対応テーブルの参照を行う
<*ナシ>
(13F)
ことを特徴とする会計処理方法。

ことを特徴とする会計処理方法。

・「freee別特許」は、上記「クレームの比較」から明らかなように、本件訴訟の「争点1」(文言侵害の成否)において問題となった、「freee本件特許」の「構成要件13C」における「対応テーブル」、及び「構成要件13E」(「優先ルール」等)を構成要件としていません。
・結果論となりますが、迷った場合には、訴訟の展開を予測することが困難なことから、「freee本件特許」に、「freee別特許」を加え、特許侵害を構成した方が良かったのではないかと個人的には考えます。
<サイト内>
●2019年7月 6日 (土)
 【AI関連発明】<コラム>「東京地裁判決(freee対マネーフォワード事件)について」<freee事件その1>

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(以上)

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