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2019年6月 7日 (金)

【特許】特許庁「日本における発明者の決定」(その5<終>)

<目次>
 (その1)1「発明者」について、2「共同発明者」について
 (その2)3「発明者」の決定例
 (その3)4 特許受ける権利
 (その4)5 日・米・中の発明者に関する比較
 (その5<終>)6 裁判例における発明者の定義
    7 発明者の認定に関する我国の一つの慣行
    8 発明者の認定が不正確な場合のリスク
<本文>

6 裁判例における発明者の定義
 ・一般社団法人日本知的財産協会・特許第2委員会・第4小委員会著「裁判所における発明者認定基準に関する研究」(知財管理、2019年1月号、以下「知財管理2019年1月号『裁判所における発明者認定基準に関する研究』」)を拝見させていただき、「知財高裁平成18年(ネ)第10074号」の存在を知った。
 ・同裁判例では、「発明者」について、次のように定義されている。
【表1】 *一部抜粋、下線加入。

 発明者とは,自然法則を利用した高度な技術的思想の創作に関与した者,すなわち,当該技術的思想を当業者が実施できる程度にまで具体的・客観的なものとして構成するための創作に関与した者を指すというべきである。

 <出典>平成19(行ケ)10278号(平成20年9月30日、知的財産高等裁判所、審決取消請求事件)(pdf:p.32/57頁参照)
 ・それに先立ち、次のように説明されている。
【表2】 *一部抜粋、改行・下線加入。

 発明とは,「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」をいい(特許法2条1項),「産業上利用することができる発明をした者は,・・・その発明について特許を受けることができる」と規定されている(同法29条1項柱書き)。
そして,発明は,その技術内容が,当該の技術分野における通常の知識を有する者が反復実施して目的とする技術効果を挙げることができる程度にまで具体的・客観的なものとして構成されたときに,完成したと解すべきである(最高裁昭和52年10月13日第一小法廷判決民集31巻6号805頁参照)。

 <出典>同上(pdf:p.31/57,32/57頁参照)
 ・「共同発明者」については、次のように説明されている。
【表3】 *一部抜粋、下線加入。

 複数の者が共同発明者となるためには,課題を解決するための着想及びその具体化の過程において,発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与したことを要する。

 <出典>同上(pdf:p.32/57頁参照)
 ・「発明の特徴的部分」については、次のように説明されている。
【表4】 *一部抜粋、下線加入。

 発明の特徴的部分とは,特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち,従来技術には見られない部分,すなわち,当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける部分を指すものと解すべきである。

 <出典>同上(pdf:p.32/57頁参照)
7 発明者の認定に関する我国の一つの慣行
 ・「知財管理2019年1月号『裁判所における発明者認定基準に関する研究』」を拝見させていただき、「平成16(ワ)1432号」の存在を知った。
 ・同裁判例では、「発明者」の認定について、次のように説明され、その結果、原告が共同発明者であることを否定した。
【表5】 *一部抜粋、下線加入。

 被告の製剤研究室ないし製剤研究課において,当時,発明に技術的な貢献をしているか否かを審査することなく,真の発明者のほか,その上司を発明者に含めており,特に本件特許のように我が国にのみしか出願しない場合には,被告において必ずしも正確に発明者を認定しない慣行となっており,

 <出典>平成16(ワ)14321号(平成17年9月13日  東京地方裁判所、民事訴訟)(pdf:p.26/26頁参照)
 ・それに先立ち、次のように説明されている。
【表6】 *一部抜粋、下線加入。

 特許を受けようとする者は,発明者の氏名を願書に記載しなければならず(特許法36条1項2号),これは正確に記載されるべきである(同法49条7号,123条1項6号参照)。

<関係資料の一覧>
 ●日本知的財産協会/「知財管理」誌/知財管理 2019年1月号 目次/VOL.69 NO.1(NO.817)
  <一部抜粋>
  ・タイトル:裁判所における発明者認定基準に関する研究
  ・著者  :特許第2委員会・第4小委員会」
  ・頁   :57
 ●日本知的財産協会/「知財管理」誌/Vol.69 記事詳細
  *「抄録」参照
 ●裁判所/裁判例情報/検索条件指定画面/知的財産裁判例
  ・平成19(行ケ)10278(平成20年9月30日、知的財産高等裁判所、審決取消請求事件)
8 発明者の認定が不正確な場合のリスク
 ・発明者の認定が不正確な場合のリスクとしては、海外、特に米・中では顕著である(前掲「5 日・米・中の発明者に関する比較」参照)。
 ・我が国においても、発明者の認定が不正確なことが原因となり、いわゆる「冒認出願」と認定され、特許出願が拒絶されたり(特許法49条7号参照)、特許権が無効となる(同法123条1項6号参照)という、リスクも考えられる。
 ・また、「共同発明」の場合には、特許法38条に該当し、特許出願が拒絶されたり(特許法49条2号参照)、特許権が無効となる(同法123条1項2号参照)リスクも考えられる。
 ・発明者の認定が不正確なことが要因の一つとして、職務発明訴訟に発展するという、リスクも考えられる。
 ・このため、発明者を正確に認定し、願書に正確に記載することが必要なものと考える。
<関係資料の一覧>
 ●裁判所/裁判例情報/検索条件指定画面/知的財産裁判例
  ・平成16(ワ)14321号(平成17年9月13日、東京地方裁判所、民事訴訟)

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(以上)

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