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2019年5月 3日 (金)

【AI関連発明】AI関連技術に係るデータ群の利活用について(14)~AIと特許法(続き)~<勉強ノート>

□AI関連発明における進歩性の判断については、特許庁より、次の事例が提供されている。

(目次)
 1 はじめに→(1)
 2 AI利用データについて→(1)~(3)
 3 AIと特許法について(4)~(16)
  3-1 我が国における特許出願件数に係る統計データ→(4)
  3-2 AI関連発明→(5)
  3-3 AI関連発明、ビジネス関連発明、IoT関連発明の特許庁資料→(6)
  3-4 特許要件の判断→(7)
  3-5 特許要件の判断→(8)
  3-6 記載要件に関する特許庁の事例について→(8)~(11)
  3-7 進歩性に関する特許庁の事例について(12)~(16)
   (1)進歩性の判断→(12)
   (2)特許庁の事例についての進歩性の有無→(12)
   (3)事例33「癌レベル算出装置」→(13)
   (4)事例34「水力発電量推定システム」(14)
   (5)事例35「ネジ締付品質推定装置」→(15)
   (6)事例36「認知症レベル推定装置」→(16)

 4 AIと意匠法について(未作成)
 5 AIと著作権法について(未作成)
 6 AIと不正競争防止法について(未作成)
 7 AIと契約について(未作成)
 8 AIと商標法について(未作成)
 9 AIとその他(未作成)
 10 おわりに(未作成)

**********

(本文)
3 AIと特許法について
 3-7 進歩性に関する特許庁の事例について
  (4)事例34「水力発電量推定システム」
     <出典>
     (1)特許庁「AI関連技術に関する事例について」(2019.1公表)
     (2)特許庁「AI関連技術に関する事例の追加について」
      (平成31年1月30日公表)
 ●事例34:水力発電量推定システム
【表16】 *改行・下線挿入

事例34:水力発電量推定システム
<拒絶理由>
・請求項1に係る発明は、進歩性を有しない。
・請求項2に係る発明は、進歩性を有する。
[技術水準]
 (1)引用発明1(引用文献1に記載された発明)
 (2) 周知技術
<クレーム>(特許請求の範囲)
【請求項1】
 情報処理装置によりニューラルネットワークを実現するダムの水力発電量推定システムであって、
 入力層と出力層とを備え、
前記入力層の入力データを基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の降水量、上流河川の流量及びダムへの流入量とし、前記出力層の出力データを前記基準時刻より未来の水力発電量とするニューラルネットワークと、
前記入力データ及び前記出力データの実績値を教師データとして前記ニューラルネットワークを学習させる機械学習部と、
前記機械学習部にて学習させたニューラルネットワークに現在時刻を基準時刻として前記入力データを入力し、現在時刻が基準時刻である出力データに基づいて未来の水力発電量の推定値を求める推定部と、
により構成されたことを特徴とする水力発電量推定システム。
【請求項2】
 請求項1に係る水力発電量推定システムであって、
前記入力層の入力データに、さらに、前記基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の気温を含むこと、
を特徴とする水力発電量推定システム。
<教師データ>→学習済みニューラルネットワーク
【請求項1】
 (1)「入力データの実績値」
   ((1a)上流域の降水量、(1b))上流河川の流量、(1c)及びダムへの流入量)
 (2)「出力データの実績値」((2a)水力発電量)
【請求項2】
 (1)、(2)に加え
 (3)上流域の気温

【図17】
20190503_zu17_34
<出典>特許庁「AI関連技術に関する事例の追加について」
(平成31年1月30日公表)
 ●事例34:拒絶理由の内容
【表17】 *改行・下線挿入、一部省略

<引用発明1>
 情報処理装置により重回帰分析を行うダムの水力発電量推定システムであって、
 説明変数を基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の降水量、上流河川の流量及びダムへの流入量とし、目的変数を前記基準時刻より未来の水力発電量とする回帰式モデルと、
 前記説明変数及び前記目的変数の実績値を用いて前記回帰式モデルの偏回帰係数を求める分析部と、
 前記分析部にて求められた偏回帰係数を設定した回帰式モデルに現在時刻を基準時刻として前記説明変数にデータを入力し、現在時刻が基準時刻である前記目的変数の出力データに基づいて未来の水力発電量の推定値を求める推定部と、
により構成されたことを特徴とする水力発電量推定システム。
<周知技術>
 機械学習の技術分野において、過去の時系列の入力データと将来の一の出力データからなる教師データを用いてニューラルネットワークを学習させ、当該学習させたニューラルネットワークを用いて過去の時系列の入力に対する将来の一の出力の推定処理を行うこと。
<拒絶理由の内容>
(相違点)
 請求項1に係る発明は、入力層と出力層とを備えたニューラルネットワークにより水力発電量推定を実現するのに対し、
引用発明1では、回帰式モデルにより水力発電量推定を実現する点。
(検討)
 周知技術として、・・・、知られている。
そして、引用発明1と周知技術とは、データ間の相関関係に基づき、過去の時系列の入力から将来の一の出力を推定するという点で機能が共通する。
(結論)
 以上の事情に基づけば、引用発明1に周知技術を適用し、回帰モデルに代えて学習済みニューラルネットワークを利用して、水力発電量推定を実現する構成とすることは、当業者が容易に想到することができたことである。
 そして、請求項1に係る発明の効果は当業者が予想し得る程度のものであり、引用発明1に周知技術を適用するに当たり、特段の阻害要因は存在しない。

 ●事例34:請求項1と引用発明1との相違点
【表18】 *改行・下線挿入
 ●事例34:請求項2に拒絶理由がないことの説明
【表19】 *改行・下線挿入

請求項1に係る発明 引用発明1
【請求項1】
 情報処理装置によりニューラルネットワークを実現するダムの水力発電量推定システムであって、
 入力層と出力層とを備え、
前記入力層の入力データを基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の降水量、上流河川の流量及びダムへの流入量とし、前記出力層の出力データを前記基準時刻より未来の水力発電量とするニューラルネットワークと、
前記入力データ及び前記出力データの実績値を教師データとして前記ニューラルネットワークを学習させる機械学習部と、
前記機械学習部にて学習させたニューラルネットワークに現在時刻を基準時刻として前記入力データを入力し、現在時刻が基準時刻である出力データに基づいて未来の水力発電量の推定値を求める推定部と、
により構成されたことを特徴とする水力発電量推定システム。
【請求項2】
 請求項1に係る水力発電量推定システムであって、
前記入力層の入力データに、さらに、前記基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の気温を含むこと、
を特徴とする水力発電量推定システム。
 情報処理装置により重回帰分析を行うダムの水力発電量推定システムであって、
 説明変数を基準時刻より過去の時刻から当該基準時刻までの所定期間の上流域の降水量、上流河川の流量及びダムへの流入量とし、目的変数を前記基準時刻より未来の水力発電量とする回帰式モデルと、
 前記説明変数及び前記目的変数の実績値を用いて前記回帰式モデルの偏回帰係数を求める分析部と、
 前記分析部にて求められた偏回帰係数を設定した回帰式モデルに現在時刻を基準時刻として前記説明変数にデータを入力し、現在時刻が基準時刻である前記目的変数の出力データに基づいて未来の水力発電量の推定値を求める推定部と、
により構成されたことを特徴とする水力発電量推定システム。

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(以上)

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