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2019年5月 4日 (土)

【AI関連発明】AI関連技術に係るデータ群の利活用について(16)~AIと特許法(続き)~<勉強ノート>

□AI関連発明における進歩性の判断については、特許庁より、次の事例が提供されている。

(目次)
 1 はじめに→(1)
 2 AI利用データについて→(1)~(3)
 3 AIと特許法について(4)~(16)
  3-1 我が国における特許出願件数に係る統計データ→(4)
  3-2 AI関連発明→(5)
  3-3 AI関連発明、ビジネス関連発明、IoT関連発明の特許庁資料→(6)
  3-4 特許要件の判断→(7)
  3-5 特許要件の判断→(8)
  3-6 記載要件に関する特許庁の事例について→(8)~(11)
  3-7 進歩性に関する特許庁の事例について(12)~(16)
   (1)進歩性の判断→(12)
   (2)特許庁の事例についての進歩性の有無→(12)
   (3)事例33「癌レベル算出装置」→(13)
   (4)事例34「水力発電量推定システム」→(14)
   (5)事例35「ネジ締付品質推定装置」→(15)
   (6)事例36「認知症レベル推定装置」(16)
 4 AIと意匠法について(未作成)

 5 AIと著作権法について(未作成)
 6 AIと不正競争防止法について(未作成)
 7 AIと契約について(未作成)
 8 AIと商標法について(未作成)
 9 AIとその他(未作成)
 10 おわりに(未作成)  

**********

(本文)
3 AIと特許法について
 3-7 進歩性に関する特許庁の事例について
  (6)事例36「認知症レベル推定装置」
     <出典>
     (1)特許庁「AI関連技術に関する事例について」(2019.1公表)
     (2)特許庁「AI関連技術に関する事例の追加について」
      (平成31年1月30日公表)
 ●事例36:認知症レベル推定装置
【表22】 *改行・下線挿入

事例36:認知症レベル推定装置
<拒絶理由>
・請求項1に係る発明は、進歩性を有する。
<クレーム>(特許請求の範囲)
【請求項1】
 回答者と質問者の会話に係る音声情報を取得する音声情報取得手段と、
 前記音声情報の音声分析を行って、前記質問者の発話区間と、前記回答者の発話区間とを特定する音声分析手段と、
 前記質問者の発話区間及び前記回答者の発話区間の音声情報を音声認識によりそれぞれテキスト化して文字列を出力する音声認識手段と、
 前記質問者の発話区間の音声認識結果から、質問者の質問種別を特定する質問内容特定手段と
 学習済みのニューラルネットワークに対して、前記質問者の質問種別と、該質問種別に対応する前記回答者の発話区間の文字列とを関連付けて入力し、前記回答者の認知症レベルを計算する認知症レベル計算手段と、
 を備え、
 前記ニューラルネットワークは、前記回答者の発話区間の文字列が対応する前記質問者の質問種別に関連付けて入力された際に、推定認知症レベルを出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施された、
認知症レベル推定装置。
<教師データ>学習済みニューラルネットワーク
 (1)「回答者と質問者の会話」
  ((1a)「質問者の質問種別を特定する質問内容」、
  (1b)「質問種別に対応する回答者」の回答内容)
 (2)回答者の「推定認知症レベル」

【図19】
20190503_zu19_36
<出典>特許庁「AI関連技術に関する事例の追加について」
(平成31年1月30日公表)
 ●事例36:拒絶理由がないことの説明
【表23】 *改行・下線挿入、一部省略

<引用発明1> *引用文献1に記載された発明
 回答者と質問者の会話に係る音声情報を取得する音声情報取得手段と、
 前記音声情報を音声認識によりテキスト化して文字列を出力する音声認識手段と、
 学習済みのニューラルネットワークに対して、前記音声認識手段によりテキスト化された文字列を入力し、前記回答者の認知症レベルを計算する認知症レベル計算手段と、
 を備え、
 前記ニューラルネットワークは、前記文字列が入力された際に、推定認知症レベルを出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施された、認知症レベル推定装置。
(相違点)
 請求項1に係る発明は、前記音声情報の音声分析を行って、前記質問者の発話区間と、前記回答者の発話区間とを特定すると共に、特定された前記質問者の発話区間及び前記回答者の発話区間の音声情報を音声認識によりテキスト化して文字列を得、前記質問者の発話区間の音声認識結果から、質問者の質問種別を特定し、ニューラルネットワークは、前記質問者の質問種別と、該質問種別に対応する前記回答者の発話区間の文字列とを関連付けて入力し、認知症レベルを出力するように機械学習処理が施されるのに対して、
引用発明1のニューラルネットワークでは、質問者及び回答者の発話区間の区別なく、音声認識によりテキスト化された文字列をそのまま入力し、認知症レベルを出力するように機械学習処理が施される点。
(検討)
 教師データを用いてニューラルネットワークを学習させる際に、入力となる教師データに一定の前処理を施すことで教師データの形式を変更し、ニューラルネットワークの推定精度の向上を試みることは、当業者の常套手段である。
しかし、認知症レベルの評価手法として回答者と質問者の会話に係る音声情報のテキスト化された文字列に対して、質問者の質問種別を特定し、当該質問種別に対応する回答者の回答内容とを関連付けて評価に用いるという具体的な手法を開示する先行技 術は発見されておらず、そのような評価手法は、出願時の技術常識でもない。
(結論)
 したがって、引用発明1のニューラルネットワークに回答者と質問者の会話に係る音声情報を学習させるに当たり、質問者の質問種別を特定し、当該質問種別に対応する回答者の回答内容とを関連付けて教師データとして用い学習をさせることは、当業者が容易に想到し得ないことである。
また、引用発明1に識別子の推定精度を向上させるための単なる設計変更や設計的事項の採用ということもできない。
さらに、請求項1に係る発明では、質問者の質問種別を特定し、当該質問種別の質問に対応する回答者の回答(文字列)を関連付けることによって、ニューラルネットワークは、教師データから熟練した専門医の知見を効果的に学習することができるので、精度の高い認知症レベルの推定を実現することができるという、顕著な効果が得られる。
 したがって、本願の請求項1に係る発明は、進歩性を有する。

 ●事例36:請求項1と引用発明1との相違点
【表24】 *改行・下線挿入

請求項1に係る発明 引用発明1
 回答者と質問者の会話に係る音声情報を取得する音声情報取得手段と、
 前記音声情報の音声分析を行って、前記質問者の発話区間と、前記回答者の発話区間とを特定する音声分析手段と、
 前記質問者の発話区間及び前記回答者の発話区間の音声情報を音声認識によりそれぞれテキスト化して文字列を出力する音声認識手段と、
 前記質問者の発話区間の音声認識結果から、質問者の質問種別を特定する質問内容特定手段と
 学習済みのニューラルネットワークに対して、前記質問者の質問種別と、該質問種別に対応する前記回答者の発話区間の文字列とを関連付けて入力し、前記回答者の認知症レベルを計算する認知症レベル計算手段と、
 を備え、
 前記ニューラルネットワークは、前記回答者の発話区間の文字列が対応する前記質問者の質問種別に関連付けて入力された際に、推定認知症レベルを出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施された、
認知症レベル推定装置。
 回答者と質問者の会話に係る音声情報を取得する音声情報取得手段と、
 前記音声情報を音声認識によりテキスト化して文字列を出力する音声認識手段と、
 学習済みのニューラルネットワークに対して、前記音声認識手段によりテキスト化された文字列を入力し、前記回答者の認知症レベルを計算する認知症レベル計算手段と、
 を備え、
 前記ニューラルネットワークは、前記文字列が入力された際に、推定認知症レベルを出力するように、教師データを用いた機械学習処理が施された、認知症レベル推定装置。

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(以上)

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